公立中学と私立中学の違いを整理してみました【保存版】
公立中学と私立中学の違いを整理してみました【保存版】
今回はよく聞かれる「私立と公立の中学校の違い」を整理しておこうと思います。
時期的にはちょうど年が明けた頃に悩まれる方が多いでしょうか。年が明けると学習塾のチラシが新聞広告を賑わわせ、それを見て悩まれるというか、考えさせられる方も多いと思います。
中学受験をするためには小学4年生から塾に通うというのが一般的です。別に中学受験をするために必要な学習内容が3年間分もあるわけでは決してありません。けれども、中学受験コースの授業が塾で始まると、途中からの参加では話についていけなくなるので、授業スタートと同時に始めていく必要があります。
ですので、4年生になるときには選択しないといけないという感じになります。けれども、意外とこれには悩まされます。理由の一つは、自分が片方の道しか知らないからです。自分が歩んだ道以外のことはあまり分からないものなので、イメージができず悩まれることになります。
人口的には私立中学に通われていた方のほうが圧倒的に少ないので、やはり私立中学の方が中学受験の過程も含めて、イメージができないと言われる方が多いでしょうか。ただ、公立中学のことも昔のことで忘れていることも多いと思います。ここでは思い出してもらうことも含めて、中学入学後から高校受験までの過程を私立中学と公立中学とを比較して整理していこうと思います。
中学入学時
中学になると、数学と英語がスタートします。まずその点からの違いを見てみます。
私立中学の場合
私立中学の場合、短くても3年間は中学受験のために時間の多くを割いてきているので、英語をずっと習ってきているという生徒はあまりいません。受験後も、入学まで2か月ほどあったりしますが、慌てて数学・英語を習いにいくということもありません。ですので、入学後、足並みをそろえて学習が始まるといった感じになります。
公立中学の場合
一方、公立中学の場合は、高校受験コースというものが小学5年生のころから始まることが多く、そこに通わせている方も中心地ほど多くなります。熱心な地域では、中学生になるときにはすでに8割以上の生徒が通塾をしているということもあります。
その高校受験コースに通っている場合、小学6年生の2月から新中学1年生として数学・英語がスタートしています。先取り教育というほどではないですが、4月からのスタートだと出遅れて、競争に少し負けがちになります。つまり、中学1年生最初の定期試験で苦戦をすることが少なからずあります。
数学・英語は出だしが悪いと苦手意識を持ってしまうことが多いので、公立中学を選ぶ場合、気を付けなければいけません。といっても、学習的にはつまずくと困る教科なので、私立中学でも油断はできませんが…。
「中学入学後」のまとめ
- 私立は足並みがそろって始まる
- 公立は塾で先に習っている生徒が多い
- 公立は特に、数学と英語に注意!
中学入学後(公立編)
中学入学後は、どちらも部活動が始まりますが、学習の進度や定期試験のイメージが異なることになります。まずは公立中学校について整理していきます。
内申点を気にしないといけない
まずは公立中学の場合、高校受験のことを忘れることはできません。高校受験は私立の高校を目指して頑張ろうという私立専願の場合は少し異なりますが、そうでなく公立高校を目指していこうという公立専願の場合(ほとんどの場合はこちらです)、いわゆる内申点が必要になります。
内申点というのは、授業態度、提出物、定期試験の点数でつけられる成績のことで、高校受験ではこの点数が必要になります。都道府県によって異なりますが、多くの場合は内申点半分、中学3年生の3学期に受ける当日の試験の点数半分、という形になります。
ここで内申点について少し注意するべきことがあります。2002年度のゆとり教育以前はほとんど定期試験の点数で決まっていたのですが、ゆとり教育以降、努力を評価しようということで授業態度と提出物の評価が大きく加わっています。どちらも女の子と比べて男の子は取りにくくなっています。「うちの子、どちらも取れなさそう」ということでしたら、ちょっと考える必要が出てきます。
また、内申点は一言でいえば、生殺しの状態になります。名前のとおり定期的にある試験によって、高校受験のための評価が少しずつ決まっていくので、ずっと受験をさせられている雰囲気でもあります。この結果、私立・公立の小中高の生徒の中で、公立中学校の生徒が一番笑顔が少ないという雰囲気になります。
通塾が一般的
また、基本的に塾に通うことになります。少なくとも週2回の通塾は必要となるかもしれません。ほとんどの公立中学は勉強をさせてこないので、受験のことも含めて、なんらかの形で塾か通信教育かを利用することになります。3年間通して、塾の授業と課題に一生懸命取り組んでいるということになります。
学習の評価ができない
これは、ちょっと大切にして欲しいことです。公立中学は入学時に学力のふるい分けがありません。ですので、生徒の偏差値分布が広くなっています。偏差値30の生徒もいれば、偏差値70ぐらいの子もいます。そういう中で競争をしていくわけですが、気にして欲しいのは、簡単には学内順位は上がりませんということです。
正しくいうと、学内順位は上がりも下がりもしません。偏差値分布が広いということは、ちょっと順位を上げたいと思っても、少し順位が上の子は偏差値も高いので、そんな簡単に勝てず、簡単に順位は上がりません。これは逆も言えます。ちょっとさぼったからといって、順位が極端に下がることもありません。
意外と気づいていない事実で「うちの子、やってもやっても全然成績が上がらなくて」という方が多いですが、思っているほど順位は上下しません。特に私立中学に通われていた方の場合、イメージが異なるので気を付けてください。
いずれにしても努力が評価されにくいという点でこれはデメリットになります。
「中学入学後(公立編)」のまとめ
- 高校受験の束縛から解放されない3年間
- 内申点を気にしないといけない
- 通塾が必要不可欠(地域性あり)
- 成績の上下がない(努力評価が難)
中学入学後(私立編)
定期試験は気持ちが楽
一方、私立中学の場合は高校受験がないので、すごく楽しい3年間になります。塾に通う生徒も少なく、文科省の示すデータでは10%ほどです。女の子は真面目なので、一部通塾している子がいます。
また、公立中学と同じく定期試験自体はありますが、気持ちは楽で、テストが悪くても落ち込むことは良くも悪くもありません。ただ、学校のよっては公立と比べて試験科目が多くなります。数学は代数と幾何、英語は文法とリーディング、理科は物理・化学と生物・地学、社会は地理と歴史、といった感じで10科目ほどの試験になっていることが一般的です。
課題が多い
それと、私立中学はかなり多くの課題を出してきます。長期休みは特に課題が多く、休み明けに課題テストがあるところがほとんどです。もしかしたら、勉強量だけを考えると公立中学の生徒と違わないかもしれません。ただ精神的には全然違うので、笑顔は絶えないです。課題をこなせば、あとは自由といった感じで過ごせます。
高校受験の可能性がある(まれに)
一応、注意ではないですが、子どもに合わない学校に受験テクニックを使って無理からに放り込んだ場合、上記のようにはなりません。授業についていくために通塾が必要になることもあり、それでも学習が厳しい場合は高校受験をせざるを得ないこともあります。そのまま高校に上がっても、高校2年生に進級できないと思われる場合、高校受験を選択するしかなくなってしまいます。
学習進度が早い
少し話を戻して、私立中学の学習進度についてですが、進度は公立より早いのが特徴です。ほとんどの中学では、中学1,2年で中学課程を終えて、中学3年生から一部の教科が高校課程になります。進度が早い分、学習についていけないと少し辛くなる生徒もいます。
学習の評価がしやすい
公立とは違い、受験によって学力のふるい分けがされているので、生徒の偏差値分布が狭くなっています。ですので、定期試験ではちょっと努力すれば点数が上がり、ちょっとさぼれば驚くほど下がります。つまり、努力が評価されやすい形になっています。これはメリットとなります。
「中学入学後(私立編)」のまとめ
- 定期試験は気持ちが楽(科目は多い)
- 課題がきちんと出る(課題テストあり)
- 高校受験の可能性あり(まれに)
- 学習進度が早い
- 学習評価が容易(努力評価が易)
費用面について
かかる費用についても整理しておきます。
公立中学の場合、通塾の費用がかかります。3~5万円/月ぐらいかかる計算なので、年間で40~60万円/年ぐらいかかります。こう考えると私立中学の授業料と同じぐらいなので、意外と差はありません。ただ、塾には費用をかけようと思うと結構かけれる(もしくは営業トークでかけさせられてしまう)ので、公立中学の方が足は出るかもしれません。
ちなみに、私立中学から高校に上がるとき、儀式的なものですが卒業式と入学式があります。当然、入学金が発生します。意外と「えっ!」ってなることなので、一応お伝えしておきます。
「かかる費用」のまとめ
- 公立中学と私立中学に大差なし
- 塾に多く通わせるなら公立中学の方が費用は高い
- 私立中学は、高校進学時に入学金必要
以上、私立中学と公立中学の違いを整理してみました。参考になれば幸いです。