【勉強】答えに至る「プロセス」を大切にしよう
前回は、授業中によくする声掛け「答え当てゲームは禁止!」というお話でした。
【勉強が苦手】丸がもらえてOKにしないで/答え当てゲームは禁止!
勉強が苦手な子どもたちは、勉強を「答え当てゲーム」にしています。「掛け算じゃないんだ。じゃあ、割り算?」って…。ちゃんと考えて!
今回は、授業中によくするもう一つの声掛け「答えに至るまでのプロセスを大切に!」についてです。
先生
答えが出るまでのプロセス(筋道、過程)を大切にして。
勉強を苦手としていない、どちらかというと勉強が得意な子どもたちによく見られる現象ですが、「正しい答えが得られる」ということに強く固執します。
- 「問題が解けたらOK」
- 「ぱっと答えが出るやり方が知りたい」
定期テストで点数を取ることを考えると、たしかにこの方法はベストかもしれません。けれども、高校生になり、大学受験を目指していくとかなりの割合で苦戦することになります。
定期試験で点数が取れたらOK
具体的な事例を見てみましょう。
定期試験対策として先生がプリントを配りながら
先生「この定期試験の過去問を何度もくり返して、かんぺきに解けるようにしましょう」
生徒「わかりました」
生徒の状況を知っておこうと先生が声をかける
先生「英語は問題ありませんか」
生徒「はい、教科書の英文を全部覚えたら90点くらい取れるので大丈夫です」
先生が生徒の解いた問題を丸付けしているとき
先生「正解ですね。特に質問はありませんか」
生徒「はい、大丈夫です」
先生「ところで、なぜここは割るのですか」
生徒「ん~…、それはわかりません」
やる気のある大学受験生が相談に来る
生徒「先生、受験で『これをやったら合格できる』っていう問題集はどれですか」
たしかに問題は解けており、中学校の定期試験くらいでは困らない雰囲気です。事実、困ってはいません。けれども、このまま、高校受験、高校の定期試験、模試、大学受験となっていくと太刀打ちできなくなります。
上手くいかなくなる理由
後に「太刀打ちできなくなる」「上手くいかなくなる」ということになりますが、これには主に2つの理由があります。
理由① 同じ問題が出題されない
問題集とほぼ同じ問題が出題される定期テストのようなものであれば、このような勉強法で困ることはありません。練習を何度も繰り返して、問題の解き方を完全に覚えこんでしまえば、テスト本番で楽々と解くことができるでしょう。
けれども、高校受験や、高校生の定期試験くらいになってくると、これでは太刀打ちできなくなっていきます。問題集と同じような問題が出題されなくなっていくためです。
少し視点を変えられたり、2つのことを融合されたりすると、途端に解けなくなってしまいます。問題集に載っていない問題、プリントになかった問題は全く解けないということになってしまうわけです。
理由② 自分の周りが強くなっていく
もう一つは、高校受験で学力によるふるい分けがされるためです。
高校受験は学力によるふるい分けをします。そうすると、入学後は自分の周りに自分と同じくらいの成績の生徒しかいない状況になります。
ところで、テストの評価の仕方は相対評価です。周りの生徒と比べてどれくらいできるのかという評価方法になっています。
お気づきでしょうか。こういう状況になると、いままでアドバンテージが取れていた「問題集に載っている問題を解ける」という能力が、全く機能しなくなります。周りのみんなもそれぐらいはできて当たり前という環境になるため、これでは勝てなくなるわけです。
なかなか、厳しい状況ですよね。
原因はどこに
ところで、このようになってしまう原因はどこにあるのでしょうか。
実は理由は簡単です。一言でいうと、成功体験です。
問題集の解き方を覚える ➡ テストで良い点が取れた
言われるがままにプリントをこなす ➡ テストで良い点が取れた
中学校の定期テストだと、これは最適で効率の良い方法です。点数も取ることができて「成功」体験ができちゃう!
けれどもこの「成功」体験のせいで、子どもたちはこれが正しい勉強法だと勘違いしてしまう結果になります。
残念なことですが、学習塾も提供しているサービスが「点数アップ!」なので、これがベストな方法であり、サービスが変わることはないでしょう。
プロセス(筋道、過程)を大切に
難関上位の大学を目指そうとすればするほど、これでは厳しい状況にはなります。なぜなら、大学は「答えを出せる学生」が欲しいのではなく、「答えを求めるプロセスを理解している学生」を求めているからです。
もちろん、生徒本人に悪気は全くありません。持っている夢に向かって、懸命に努力しているわけです。
でも努力しているにもかかわらず、実りのある結果を得ることができないということになります。勿体ないですよね。
目先のテストの点数は確かに気になります。その気持ちはわかりますが、あまり気にせず、問題を解くプロセス(筋道、過程)を大切にして勉強に励んでもらえたらと思います。