苦手教科を塾で学ぶのってどうなんだろう
If a child is poor in math but good at tennis, most people would hire a math tutor. I would rather hire a tennis coach.
たとえテニスが得意な子どもでも数学が苦手なら、たいていの人は数学の先生を雇うだろう。私ならむしろテニスのコーチを雇いたいけどね。
アメリカの作家Deepak Chopra(ディーパック・チョップラ)の言葉です。
この言葉を聞いて、2つのことが頭をよぎりました。
- 一つは言葉の通り、勉強と勉強以外のこと。
- もう一つは、勉強の中での得意な教科と苦手な教科。
勉強と勉強以外のことでも思うことはありますが、今回は勉強の中での得意教科と苦手教科について、考えたいと思います。
ただ、これは、正直難しい話だと思っています。声を大にして「正しいのでそうしてください」と言い辛いところがあるのは事実です。
けれども、あまり取り沙汰されないので、あえて議題にしたいと思います。これについては色々な考えがあるでしょうが、テーマとして挙げることに価値があると思っています。
このテーマの話に入る前に僕の立ち位置についてです。僕自身は、理想を言うならば生徒にはすべての教科を理解してもらって、あらゆることを考えられる人間になって欲しいと思っています。少しでもそういう世界を見てもらいたいと思い、教育に携わっています。けれども、全員にそれが必要不可欠なわけでもなく、その世界に至れないと幸せな人生を送れないわけではありません。自分の価値観や人生観は横に置いて、各生徒の人生における幸せを考えた上での指導でなくてはいけないと考えています。
苦手教科を塾で学ぶのってどうなんだろう
これは学年にもよると思います。小学生、中学生に対しては正直、あまり思ったことがありません。けれども、高校生を指導しているときには、しばしば思います。
高校は義務教育ではないので、定期試験である程度点数が取れないと留年になってしまいます。そのため、定期試験で苦戦していると、欠点を取らないために通塾することになります。
高校課程では進級することも大切です。進級できずに留年や、高校をやめて通信制などで高卒の資格を取ろうとした場合、より大変で時間や労力もかかるものです。ですから、通塾して頑張って進級することも仕方がありません。授業を行っている側としても、進級がかかっているならば必要なことであると思ってはいます。でも、正直、内心は
と思っていることは確かです。この授業の内容で、その子の人生が豊かになっているイメージは全く持てません。苦労しているこの教科を「人生で使おう」って思ってもらえると感じられないからです。
もちろん、こちらもプロです。生徒の可能性を勝手に潰したりするつもりはなく、可能な限りその教科に関心を持ってもらえるように授業をしたいと思っています。でも、定期試験で苦戦している以上、内容よりも「とりあえず点数を取れるようにしないと」という授業をせざるを得ないのも事実です。
そして、このブログのテーマに反することかもしれませんが、その子が無事高校を卒業できて、なおかつ大学受験でも本人が満足のいく結果が得られたら、本心から良かったと思ってもいます。笑顔は重要です。成功体験も当然超必要です!
けれども、得意な教科を見させて欲しい!
しかし、敢えて言わせてください。
- 「授業自体はその子の最も得意な教科を見たい!!」
- 「最も得意な教科をより伸ばしたい!!」
どの教科においても、確実に大きく伸ばすことができます。その手法を持っていますし、伸ばせなかったことは一度たりともありません。そして、得意な教科が大きく伸びれば、絶対にその子の人生はより開けたものになります。ほぼ確実にそれを使って生きていくのでしょうから。
こう思うと、「その教科を見させてほしい」というのが教えている側の本心なのです。
難しいことですが、生徒に言ったこともあります。
「で、提案なんやけど、得意な〇〇の授業に変えへんかな。」
「得意な教科を伸ばせたら、今目指している大学の合格もより確実になるし、大学卒業後にも絶対価値があるし!」
世の教育に携わっている方々の中にも、同じように思っておられる方はたくさんいると思います。そう思っている先生に出会ったら、是非その授業を受けてください。受験のためではなく、その後の人生のために!絶対勝ちがありますから!!
塾のサービスというものを考えた場合、たしかに定期試験の点数や、受験の合格が第一に優先されるべきものです。それが塾であり、正しい利用の仕方だとは思います。けれども、何かそれでは勿体ないというか、何か満足がいかない気分になるということもまた確かなのです。