【勉強】なぜ勉強を難しいと思うのか―「できる」という認識
勉強って、なぜこんなに難しいのでしょうか。
これは生徒側だけではなく、先生側も思っているような気がします。
先生
なんでこんなに勉強を教えるのって難しいんだろう…
当然ですが、先生はきちんと理解していて、頭の中は理路整然としています。なので、難しいとは感じていません。「こう考えたら分かりますよね」「こうやったら簡単に解けるよね」と思っています。
けれども、これを伝えるのが難しいのか、簡単に解けるようにはなってもらえません。そして、生徒たちも「勉強って難しいなぁ」と思ってしまっています。
なぜこうなってしまうのか。最近、この疑問に対する一つの答えに出会いました。
「あまさ」が原因?
そもそも、授業を聞いただけで問題が解けるようになるということはありません。
授業を聞いて理解できたら、その理解したことを忘れる前に復習したり、問題集を解いたりしないと、自分で解けるようにはなれません。
授業中にもこのことは常に言いますが、「もう分かったし、大丈夫」と思うのか、もしくは少し復習しただけで「よい、バッチリ!」と思うのか、きちんと理解して解けるというところまでに至らない生徒が多くいます。
一言でいうと、これは「あまい!」ということでしょう。「あまさ」が原因で「できる」とすぐに思い込んでしまい、練習が疎かになり問題が解けるようになれない。私もいままでそう思っていました。
➡ 結果、練習不足で勉強が「難しい」となる
でも、心理学や行動学を知ると、原因は少し違うところにあるようなのです。
なぜ「できる」と思ってしまうの
人間は、思考するときにいろいろなバイアスがかかります。バイアスとは偏りのことで、心理学では「偏見、先入観」を意味します。
普段、私たちは合理的に考えて行動していると思っています。自分は合理的に考えて、その結果合理的な行動をしていると捉えているわけです。
けれども実際には、思考にバイアス(偏り)がかかっていて、正しい結論に至れてはいないのです。ここで質が悪いのは、当の本人は合理的な結論に至っていると思っていることです。
流暢性へのバイアス
思考するときに生じるバイアスの中で今回登場するのは「流暢性へのバイアス」というものです。
流暢に進む物事を見ると、人はそれを簡単に行われていると錯覚する
授業中に先生が黒板の前で滞ることなくすらすらと問題を解いてしまうと、それを見た生徒たちは流暢性へのバイアスで「簡単だ」と認識してしまい、「自分もできそうだ」と思うわけです。
これはマズイですよね。
しかも、このバイアスの問題点は、くり返し見るほど簡単だと思い込んでしまうことです。
マイケル・ジャクソンのムーンウォークを思い浮かべてください。動きとしてはかなりスムーズです。そのため、ムーンウォークの動画をみると「自分でもできる」と感じてしまいます。特に何度も動画を見た人ほど強く「こんなの誰だってできるだろう」と思うようになるのです。
「できる」と思ってしまうと…
授業を聞いただけで「できる」と思ってしまうと、結果練習はしなくなります。そして、練習していないと当然問題は解けないので、その結果、「あれ、解けない…。勉強って難しすぎ!」となってしまうのです。
勉強を難しく感じてしまう理由は、練習をしないからです。けれども、その原因は「あまさ」ではなく、脳の流暢性へのバイアスから生じる「簡単にできそうだ」という認識のミスなのです。
解決策
スムーズで分かりやすい解説を聞くと「簡単にできる」と思ってしまいます。これを解決しないといけません。けれども、これは人間の思考のクセなので、頭で理解してもなかなか抗うことはできないのが現実です。
「できる」と思ってしまうこと自体を無くすことはできないというわけです。では、どうしたら良いのでしょうか。
結論は、「実際にやってみる」ということです。
ムーンウォーク、実際にやってみたら激ムズなことは即わかります。できるようになるためには膨大な練習が必要だと思うことでしょう。
勉強も同じです。授業ノートを見ずに、実際に机に向かって自分で解いてみましょう。
きちんと解けたらOKですが、ほとんどの人は解けないはずです。「あれ、この次どうやるんだったっけ?」ってなるはずです。
こう思うことで、授業を聞いて「自分はできる。もう大丈夫だ。」と思ってしまっても、そこから練習不足になることを防げます。そして、新しいことを学ぶたびに確認の作業をしていけば、勉強はそこまで難しくはならないのです。
まとめ
勉強は「練習してもできるようになれない」ということは、まずありません。
この流れに陥ると難しくなってしまうのです。これを断ち切るために、流暢性へのバイアスを知った上で「きちんと練習しなとダメだ」と思ってもらえたら、きっと上手くいくことでしょう。