【成績】悪い成績の教科を気にしすぎだと思います
親にしても、本人にしても、悪い成績の教科を気にしているのをよく見受けます。
良い成績の教科を気にするというとおかしい話なので、そういう言い方をすると必然的に気になるのは悪い成績の教科です。
けれども、評価自体はどの教科に対してでもできます。
ネガティブな情報を評価する
たとえば、次のような成績だった場合を見てみましょう。
英語 | 数学 | 国語 | 理科 | 社会 |
75点 | 82点 | 85点 | 51点 | 79点 |
このような成績を取っている場合、ほとんどの保護者や生徒たちは「理科ができていない」という評価をします。「数学と国語はよくできている」という評価はあまりしません。
「数学と国語はよくできている(けど、理科は良くないです)」も点数の悪い理科にフォーカスが当たっているゆえに「理科はできていない」という評価をしているのと同等です。
悪い教科を無視して「数学と理科はすごくいいです。なので国語なんて気になりません」というような人はなかなか珍しいのです。
ネガティブ・バイアス
人がこのような評価するのには理由があります。人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に過剰に反応をしてしまうためです。これを心理学ではネガティブ・バイアスと呼んでいます。
人はネガティブな情報に過剰に影響を受ける
例えば、私は買い物をするときにはよくAmazonのレビューを見ます。この時、フォーカスしてしまうのはネガティブなレビューです。ポジティブなレビューが数多くあっても、「使用して2週間で動かなくなりました」というレビューが1件あるだけで購入をためらうことになります。1件のネガティブなレビューは数十件のポジティブなレビューを駆逐してしまうわけです。
テレビニュースでネガティブな情報を流すのも、このネガティブ・バイアスのせいだと考えられます。ネガティブなニュースの方が人々の関心を得ることができ、高視聴率を獲得することができるのでしょう。
人間の本能
悲しいかな、私たちはネガティブな情報に過剰に反応してしまうわけですが、このネガティブ・バイアスは人類が生存競争で勝つためには必要な本能だったと考えられています。
死に至るネガティブな情報があれば、その情報は何よりも優先されるべきです。自然淘汰のことを考えると、そうでなければ人類はとっくに滅亡しているでしょう。
得意を大切にする
人間の本能なので、ネガティブな情報に過剰に反応をしてしまうこと自体は仕方がありません。反応すること自体に抗うことはできないでしょう。
ですが、そう思う心を隅に押しやって、良い教科を評価しようとすることはとても大切なのです。
教科の話だと分かりにくいので、少し話を変えてみます。例えば、次のようなことを言っている人がいたとしましょう。
- バスケなんてしたことないし
- 野球もノーコン
- 視力も悪い
- 持久力もなくて長距離走も苦手
- 音楽もできないし
- 絵も普通以下
- 人とのコミュニケーションも得意ではないし
- 人の話を聞くのもあまり好きではない
できないことだらけで苦手満載のように聞こえますが、実は「卓球は得意」「勉強はそこそこできる」「プログラミングは人に負けない」などの長所があるのかもしれません。もしそうならば、長所があるわけなので他はできなくても良いような気がします。
神は二物を与えず
そもそも生きていく上で多種多用なことができる必要はありません。多くの人は、何か一つの取り柄があれば良いと考えているはずです。
勉強の世界でも同じです。英語・数学・国語・理科・社会なんていうのは野球・サッカー・バスケ・テニス・柔道みたいなものです。「どれもできる」ということに拘るのは何か違う気がします。
確かに「受験」のことを考えるとできるに越したことありません。でも、すべてができるようになるためには、青春時代のすべてを投げ打って勉強にすべての努力をつぎ込む必要があります。
そこまでの価値はあるの?
私にはそこまで価値があるようには思えません。そして、自分の子どもに強いることはありません。得意な教科が一つあれば、十分だと考えています。
もちろん、受験時期には他の教科も勉強しなくてはならないでしょう。でも、それはその期間に持ちうる時間をつぎ込んでがんばれば、それでOKです。
本人が能動的に取り組んでいるならば良いですが、受験時期でもないのに強制的に多大なる時間をつぎ込ませるほどの価値は見いだせないのです。
まとめ
私たちはネガティブ・バイアスのせいで、ネガティブな情報に強く影響を受けてしまいます。
生存競争の中においては重要な役割を果たしている能力ですが、成績を評価するとき、そこから学習の評価をするときには、ネガティブ・バイアスに踊らされないようにしないといけません。
得意な教科、よくできている教科を評価することを大切にしてください。