【読解力を鍛える方法】大切なのは語彙力を身につけることです
前回、読解力について整理をしてみました。
【国語の成績を上げる】読解力って何だろう?
国語でよく出てくる「読解力」とは、そもそも何なの?結論から言うと、国語の問題を解くために必要な両翼「読解力」と「記述力」の片翼で、「論理把握」と「語彙力」の2つの力を合わせて「読解力」と呼んでいます。この記事ではこれらの力について整理をしています。
今回は、「読解力はどうやって鍛えていくのか」という具体的なところに焦点を当てて話を進めていこうと思います。
結論から言うと、基本的には学習塾に通っても読解力を鍛えることはできません。(例外もありますが、基本的にはできません!)
塾に通って、国語の文章問題を解き続けても、そのおかげで読解力がつくということは、残念ながら起きないのです。
理由は単純で、最終的に読解力に影響を与えるのは「語彙力」だからです。
この記事の内容
1. エピソード「語彙力の大切さ」
まずは僕がこれからお話をするような考えを持つようになったきっかけからお話します。
20代のころ、まだ大学受験予備校で教務に携わっていたときの話です。
人気のある有名な現代文の先生と、仕事の帰り際に少しお話をしていました。その中で先生がふと、
「この3月の1回目の授業(新学年スタートの授業)のときに、1年後に(現代文が)できるようになっているかどうかを当てることができるんだよ」
と。1教室50名ぐらいの集団授業で、直接生徒とやりとりをするわけでもないのに、どうしてそんなことが分かるんだと思いました。先生は続けて、次のように言われました。
「机の上に電子辞書を出している生徒は伸びるんだよね。これからの1年で習った技術を生かすも殺すも語彙力があるどうかだからね。」
なるほどと思いました。その後、自分で塾を開いて、10年以上ものあいだ個別指導で多くの生徒の国語・現代文を見てきましたが、その経験の中でもこれは正鵠を射た考え方だと思っています。
読解の技術、記述の技術を指南したところで、「語彙力」がないと有効に活用することはできません。なぜなら文の意味を正確に捉えられないからです。
語彙力が必要だというのは当たり前のことですが、読解力を身につけたいと思うなら、このことから目を背けてはいけません。
2. 学習塾で読解力は鍛えられるの?

そもそも、学習塾の国語の授業では何を学ぶことができるのでしょうか。
この話をするために「読解力」について少し整理をしておきます。
読解力とは(簡単に整理)
国語の問題を解くためには次の3つの力が必要になります。
- 論理把握 = 文章の論理を把握する力
- 語彙力 = 使われている言葉の意味がわかる
- 記述力 = 設問に対して正しく答える力
このうちの「論理把握」と「語彙力」を合わせた力を「読解力」と呼んでいます。
この2つの力をともに用いることで、文章に書かれている筆者の考えを読み解いていくことになります。読解力を鍛えるには「論理把握」と「語彙力」の両方を鍛えていく必要があるというわけです。
学習塾で学べること(学習塾で国語を学ぶ意味)
国語に必要な3つの力のうち、学習塾で習得できるのは「論理把握」と「記述力」です。指導する立場からすると、教えることができるのはこの2つの力になります。
また、この「論理把握」というものは、習って理解できれば、それで終わりという単純なスキルにあたっています。学ぶべき量も多くなければ、深さも特にありません。なので、具体的には受験時期に1年間ぐらい授業を受ければ、習得するのに十分事足りるぐらいのものなのです。
「論理把握」の特徴
- 学べば誰でも習得できる
- 学ぶべき内容に量はない
- 学ぶべき内容に深さはない
- 1年もあれば十分習得できる
論理把握の詳しい説明
【国語を論理的に思考】文章を読解するとき、論理の把握は必要不可欠です
文章を読み取るというのは、筆者の主張(イイタイコト)が分かるということです。では、どうすれば筆者の主張を読み取れるのでしょうか。結論から言うと、筆者が自分の考えを説明するために用いている論理(ロジック)を把握することです。
以上の話から、読解力を養っていきたいと思っても、すぐに通塾する(通塾させる)のは早計だと言えます。
重要なのは、エピソードで出てきた読解力の根幹を担っている「語彙力」の方なのです。「語彙力を鍛えていくにはどうしたら良いだろう」と考えること、これが読解力を身につけていくための正しい道への第一歩となります。
3. 読解に不可欠な語彙力の鍛え方

語彙力を養っていく方法は、いくつかあります。一つはたまに聞く「多読」というもので、ひたすら本を読むというものです。ただ、趣味で本を読んでいるならついでに語彙力も増えてよいとは思いますが、語彙を増やしたいというならば、それほど効率的だとは言えません。
効率良く語彙を増やしていきたいなら、もっとも良いのは「辞書を引く」ことです。確かに辞書を引くのはひと手間で時間を要します。けれども、これに勝る方法はありません。
本を読んだりしている中で、知らない言葉に出会ったら辞書を引く。これを続けていくことで語彙は確実に増えていきます。そして、その結果、読解力を手に入れることができます。
⇒ 語彙力が増える
⇒ 読解力が身につく!
断言しますが、これが読解力を得るための正攻法であり、最短ルートなのです。
語彙力の重要性
辞書を引くよりももっと効率の良い方法はないのかと思うかもしれませんが、無いと思います。でも、これは見方を変えればチャンスだと言えます。
語彙力は受験だけでなく人生においても武器になります。
僕自身、大学生の頃に1000冊近く本を読み、知らない言葉には印を入れて、辞書を引き続けました。その時に得た語彙力の恩恵は計り知れないもので、もう一度人生を歩むことになったとしても、迷うことなく語彙力を得る労力は惜しまないでしょう。
この記事を読んでいるということは、少なからず語彙力には興味があるのではと思います。これを機に、ひとつ頑張ってみようかなというのは有りだと思います。