【学習塾の選び方】集団塾と個別指導塾の違いを分かりやすく整理してみました

教育

【学習塾の選び方】集団塾と個別指導塾の違いを整理してみました

学習塾には大きくわけて集団塾個別指導塾があり、この違いについてまとめてみました。ちなみに僕の職歴は集団塾3年、個別指導塾15年ほどでどちらも経験しているのでわりと正しく整理できていると思います。

目次

集団塾と個別指導塾の区別

実は両者に明確な線引きはないのですが、僕自身は次のように区別しています。

  • 集団塾 = 集団授業の塾
    一斉授業で学習を進めていく学習塾
  • 個別指導塾 = 個別指導の塾
    各自の進度に合わせて学習を進めていく学習塾

生徒が集まらなくて先生1人に生徒1人でも、先生が黒板で一方向的に授業をしているなら集団塾となります。逆に、教室に生徒が20人ほど座っていても、数名の先生が巡回して各自に対応して指導をしているなら個別指導塾という扱いです。

ただ、学習の進め方で区別をすることにはしてみましたが、ほとんどの場合、集団塾は先生1人に対して生徒5人以上(予備校だと200人とかもある)で、個別指導塾は先生1人に対して生徒1~3人となっている感じです。

  • 集団塾 ⇒ 先生1:生徒5以上
  • 個別指導塾 ⇒ 先生1:生徒1~3

では、実際に「授業の進め方」の違いからみていきます。

授業の進め方

やはり、集団塾と個別指導塾の一番大きな違いは「授業の進め方」です。集団で進めていくのと個別で進めていくので何が違っているのかを整理しました。

一斉授業と個別指導

集団塾の場合、先生が教室の前に立って一斉に授業を進めていきます。いわゆる学校と同じ形式ですね。このとき、生徒の顔を見ながら(生徒の理解度を感じながら)臨機応変に授業を進めていくライブ型の先生と、一つの作られた劇を演じるかのように毎年決まった授業を行う録画型の先生がいます。

どちらが良いというわけではありません。ライブ型の方が臨機応変に対応するので聞こえは良さそうですが、分かりやすい授業というのを追い求めていくと結果一つの劇になります。有名なベテランの先生が行う人気のある授業は完成された一つの劇になっていることも多いです。

いずれの場合も、生徒に応じて進度や難易度を設定できないので、コースに分けて授業を行うことになります。

一方、個別指導塾の場合、先生は各生徒に合わせての指導になります。具体的には、生徒の学習状況や理解度、目指している志望校などに合わせての授業ができ、場合によっては使用する問題集も生徒に合わせて選んでいることもあります。これは個別指導の一番のメリットと言えるもので、この特徴を重要視する場合、個別指導塾を選ぶのが良いでしょう。

一方向的と双方向的

集団授業の場合、授業の性質上から基本的には一方向的な授業であり、生徒は静かに先生の話を聞いているという形になります。静かに授業を聞いてもらえないと授業自体は破綻してしまいますので当然のルールです。ですので、質問があったとしても授業後にしか聞けないとなるでしょう

それと比較すると個別指導の場合は先生は生徒の横にいることが多く、生徒とやりとりをしながら授業を進めていくことができるので双方向的な授業になります。これは生徒とコミュニケーションを取りながら授業をしていくというスタイルで、授業中に質問ができます。また、質問をしなかったとしても、先生側としては生徒の理解がまだ及んでいないと感じることも容易で、補足説明をしてもらいやすいとも言えます。

宿題の内容と量

宿題においても異なることがあります。ただ、これは若干その塾によりけりという点でもありますが、目安にはわりとできると思います。

集団授業の場合、習熟度によってコースに分かれての授業なので、授業を受けている生徒の学力差が大きく乖離しているわけではありません。ただ、それでもその中でできる生徒とできない生徒の差がないわけではありません。そのため、できる生徒に価値がある難易度から、できない生徒が練習しないといけない難易度までが宿題として出されます。両者にとって、ちょっと無駄がある宿題となってしまい、結果として宿題は多めになります。

個別指導の場合、その生徒に合わせて宿題を出すことが可能です。なので、簡単すぎる宿題と難しすぎる宿題は出さないことができ、塾によっては宿題を少なめにしているところはあると思います。

ただ、塾側が「宿題は出せば出すだけ良い」と思っていたり、「宿題をもっと出して欲しい」と思っている保護者が多かったりすると、宿題は多くなるので、上記のような違いはない場合もあります。

確認テスト

塾には確認テストというものもありますが、集団塾の場合は必要不可欠なものになります。これは授業が一方向的なものなので、先生側からすると生徒の理解度があまり分かりません。ですので、前授業の理解度をチェックするために確認テストを行うことなります。

一方、個別指導の場合、授業中に生徒の理解度を感じ取ることができ、また宿題のチェックでも前回の授業内容の理解度を正確に読み取ることができます。そのため、確認テストは特に必要としません。実施していない塾もあるでしょう。

ただ、確認テストによって生徒に復習を促すこともできるので、行っている個別指導塾も多くあるとは思います。

講師の違い

塾の授業は、集団授業であれ個別指導であれ、一番大きく違いが出てくるのはその先生の力量です。どのような素晴らしい授業システムがあったとしても、生かすも殺すも先生次第です。そういう意味で、先生の良し悪しは重要なポイントになりますが、集団塾と個別指導塾で先生の違いはあるのかということです。答えから言うと、わりとあります

社会人と学生

その前に、社会人講師と学生講師の違いを是非伝えておきたいと思います。学生とは大学生のことですが、皆さんは社会人の先生の方が安心できるようです。確かに、ベテランの先生は社会人ですし、その先生に勝ることはありません。ただ、私は学生も悪くはないと考えています。

理由は正直言いにくいことなのですが、塾業界は優秀な人材が大卒から入ってくることは基本的にありません。就職活動で塾業界を選ぶというのはないんですね。親として子どもが塾に就職するといえば猛反対するでしょう。そういう業界です。

ところが、大学生が塾講師としてアルバイトをするといった場合、実は優秀な学生が多くいます。一般的に塾講師のアルバイトは時給が良いのですが、勉強を教える仕事で責任もついて回ることになるので、力量がない学生は敬遠します。そのため、力のある学生が多いわけです。塾講師のアルバイトを募集して、学生と社会人の2名が来たとき、学生の方がしっかりしているというイメージもあります。

もちろん、これは絶対ではありませんので、優秀な社会人の講師もいれば、全然ダメな学生アルバイト講師もいます。というか、めっちゃいます!あくまで、学生も優秀なんですよという話です。

集団塾と個別指導塾の先生の違い

これも一概には言えませんが、平均すると集団塾の先生の方が優秀だと言えます。理由は、単純に集団塾の講師アルバイトの方が時給が良いからです。時給が良いということは、それだけ優秀な人材を集めることができます。それと同時に集団授業の方が教える能力が必要で責任も重大になるので、より敬遠されがちになります。集団塾の講師アルバイトはかなり自分に自信がないと選べないわけで、優秀じゃないと応募してきません。

逆に、個別指導塾は集団塾と比べるとハードルは低く、時給も安いのでお手軽だと感じることになります。個別指導塾の先生ぐらいならできそうとなるわけですね。そういう点で、先生の質という点では集団塾に軍配が上がります。

先生との距離

生徒と先生との距離をいうのを考えた場合、個別指導塾の方が断然近くなります。指導をするときに先生は横につくことになるので必然的に近くなるわけです。ただ、先生との距離が近すぎると感じる生徒もいますので、一概にメリットだと言えるわけではありません。生徒によっては集団塾における先生との距離感の方がストレスを感じないかもしれません。

環境の違い

集団塾と個別指導塾は環境も少し異なります。

競争、ライバル

集団塾は同じ志を持った生徒が1つの教室に集まるので、競争心を煽ることができます。これは受験においては大きなメリットの一つで、全体的に成績を上げやすい環境だと言えます。受験自体が競争である以上、このことは有効に働くことになります。その中で自分のライバルができればより切磋琢磨することにもつながります。

かたや、個別指導塾の場合、同じような環境を作ることは困難になります。塾自体がその環境を作ることが難しいだけでなく、生徒自身も競争を好まないゆえに個別指導塾を選んでいるということも多く、これによってより難しくなります。いずれにせよ、競争やライバルによって受験を乗り切るという手法は取れない環境だと言えるでしょう。

友達

また、「友達」関係も少し異なります。

集団塾の場合、教室に友達がたくさんいて楽しく過ごしている雰囲気があります。はじめは同じ学校の友達がいなくても塾の友達ができることも多いでしょう。和気あいあいといった雰囲気もあるわけです。競争・ライバルという関係とは相反する感じですが、両方の関係がバランスよく共存しています。

一方、個別指導塾の場合は、ライバルだけでなく友達関係も希薄になります。そもそもクラス授業がないために友達と出会いにくくなっています。さらに、友達を塾に求めない生徒が通っているという感じもあり、周りの生徒がそれを望んでいないということから塾で友達ができることは珍しい環境だと言えるでしょう。

入塾のタイミング

集団塾と個別指導塾では入塾のタイミングというものも異なります。

実際には異なるというか、集団塾の場合はやはり2月か3月の新学年からが圧倒的に入塾しやすく、その時期に入らないと授業にもついていきにくくなっています。ところが、個別指導塾の場合は生徒に合わせての授業なので、特に入塾のタイミングというのがありません。いつでも入塾しやすいと言えるでしょう。

塾の費用

費用はその塾次第とも言えますし、費用の見せ方のようなものもあるので一概には言いにくいものですが、少し説明をしておきます。

単純に言えば、集団塾は多くの生徒で先生の授業料を捻出しているので、授業料を安くすることができます。逆に個別指導塾だと数人でその先生の授業料を支払う形になっているので、値段は高くなりがちです。ただ、授業時間が同じならばそうだということです。

実際には塾によって授業時間も大きく異なるでしょうし、授業料ということだけを取り出して高い安いということはできません。あくまで1時間当たりの金額に換算したらと集団塾は安く、個別指導塾は高いといったところです。

以上、集団塾と個別指導塾、集団授業と個別指導についての違いを整理してみました。参考になれば幸いです。