【算数】なぜ僕たちは算数を勉強しないといけないの#1(計算力)

勉強法 教育 数学

なぜ私たちは算数を勉強しないといけないのでしょうか。
算数を勉強することで何を手に入れることができるのでしょうか。

私たちが算数の勉強で手に入れたいのは次の4つです。重要な順に並べています。

  1. 四則演算の計算ができることと概念の理解(計算力
  2. 各単元で学ぶ考え方の理解(単元の知識
  3. 与えられた情報から問われていることを求めようとする力(思考力
  4. 頭を使う楽しさ

これから4回に分けてそれぞれを具体的にお話していきたいと思います。

今回は1つ目の「四則演算の計算ができることと概念の理解」についてです。

四則演算の計算をスムーズに

まずは「四則演算の計算ができる」ことです。これはより正確にいうと「四則演算の計算がスムーズにできる」ことです。

小学生が学ぶ計算のカリキュラムはおよそ次のようになっています。(2024年度現在)

1年生
簡単なたし算・ひき算(筆算なし)
2年生
2桁のたし算・ひき算(筆算使用)
簡単なかけ算(九九)
3年生
簡単なわり算(筆算なし)
3桁のたし算・ひき算
かけ算(筆算使用)
小数のたし算・ひき算
分数のたし算・ひき算(同分母で1を超えない)
4年生
わり算(筆算使用)
小数のかけ算・わり算(整数×小数、整数÷小数)
分数のたし算・ひき算(同分母で1を超える)
5年生
小数のかけ算・わり算(小数×小数、小数÷小数)
分数のたし算・ひき算(異分母)
6年生
分数のかけ算・わり算

今の学年で学ぶ計算で良いので、悩むことなくスムーズに計算ができることがとても大切です。

スムーズに計算力ができることの大切さは以前にブログでまとめたことがあります。よければ参考にしてください。

【算数・数学】思考力を養うために計算力を鍛えよう

端的にいうと、「スムーズに」というのは「えーっと、この計算はどうやるんだっけかな」という引っかかりがなく計算ができるようにということです。

ほとんどの場合は反復演習することで解決するはずなので、計算に苦戦しているようでしたら毎日5~10分で良いので繰り返し練習しましょう。

「速く計算できる」は不要

「計算を速くする」ということを重視する先生がいたりしますが、速く計算できる必要は全くありません

確かに速く計算できるならばそれにこしたことはないように思えますが、でも計算が速い人はどうしてもミスが目立ちます。

ミスをしてまで速く計算をするのにメリットが全くありません。計算ミスは受験においては致命的で命とりです。そのせいで不合格になることも十分考えられます。

重要なことは、「計算ミスをせずに計算ができる」ということです。「はやく!」よりも「ていねいに」が優先されます。

計算が速い
ていねいに計算できる

実際、授業中でも「計算、速すぎ…。そのスピードで計算したら誰だってミスするよ」という声掛けが圧倒的に多いです。

「計算ができる」というのはミスなくできることを意味します。「計算はていねいに」を心がけて学習しましょう。

四則の概念を理解する

次に「四則演算の概念の理解」についてです。

計算ができても、たし算・ひき算・かけ算・わり算のそれぞれの概念を理解していないと文章題で立式することができません。または間違った立式になります。

四則の概念が理解できないと…
立式ができない
立式がまちがっている

これでは折角計算ができても価値がありません。かけ算、わり算で例を挙げてみます。

例① かけ算の概念

例題1
3個のリンゴが入っているバスケットが4つあります.全部でリンゴはいくつあるでしょうか.

かけ算を習うまでは 3+3+3+3=12 個となります。かけ算を習うことで 3×4=12 個という式になります。

かけ算の基本的な概念は「何度も同じ数字を足すのは面倒なのでかけ算で計算しようよ」というものです。

3+3+3+3 は計算が面倒
3×4 というかけ算が楽だね

もちろん、たし算で解いても問題はありません。けれども、243×32 とかになると243を32回も足すのは非現実的になってしまいます。

また文章題によっては立式が

立式 3+4+4+4+4+4+4+4+4+4=

となるものもあります。この場合もかけ算を知っているならば

立式 3+4×9=

と立式したいところです。

例② わり算の概念

例題2
キャンデーが20個あります.これを兄と妹で分けます.兄が2個多くもらうとしたら,兄と妹はそれぞれ何個のキャンデーをもらうことになるでしょうか.

この問題で 20÷2 と立式する生徒はすごく多くなります。確かに、「分けるのでわり算だ!」というイメージは完全に間違っているわけではありません。

けれども、わり算の基本的な概念の一つは「等しく分ける」というものです。なので、20÷2=10個とすると、その後で困ることになります。

授業では
「わり算は『等しく分ける』ことになるから、等しくなるようにしてからわり算をしないと上手くいかないかも」
というヒントを出すことになります。兄の多い分2個を引いて 20―2=18個としてから、わり算をする必要があります。

* 20÷2=10個としてから、状況を理解した上で兄は 10+1=11個、妹は 10-1=9個とする生徒もごくまれにいます。なので、一概に 20÷2 が誤りだとは言えません。

まとめ

「なぜ算数を勉強するのか」で、まずは広い意味で「計算の力が欲しい」というものでした。

まずは計算をスムーズにできるようにして、それができたら次は、四則演算のそれぞれの概念をきちんと理解して運用できることを目指していきたいです。

四則演算の計算ができることと概念の理解
1 計算がスムーズにできる
2 四則演算の概念を理解する

次回は2つ目の「各単元で学ぶ考え方の理解(単元の知識)」についてです。