【なぜ?】やる気が出ないのですが、どうしたらいいですか
「うちの子、全然やる気がないのです。どうしたらいいですか」
一時「やる気スイッチ」みたいなのがCMで流行りました。
(テレビを見ないのでわかりませんが、今でも流行っていたらすいません…)
「やる気」をコントロールすることができれば、子育て、生徒や部下の育成など、あらゆるシーンで役立つだけでなく、自分の行動をどのようにして上手く促すかということにおいても十分利用ができます。
今回はこの「やる気」について、話を掘り下げていこうと思います。
ところで、「やる気」ってなんか変な言葉だなといつも思います。
「やる気」の意味は、文字通り「やろうとする気持ち」です。
でも、やる気があるかどうかは「行動」で推し量っているわけです。
やる気があるかどうかは、行動次第。
なんか変だと思いませんか…?
「やる気」はどこから出てくる?

何かするべきことがあるときに、「やる気が出てこない」と言ったりします。これは、「やる気があるとできる」「やる気がないからできない」という考えに基づいているように思えます。
やる気がなる ➡ 行動できない
つまり、行動のもとになるものが「やる気」だと捉えているわけです。
もちろん、やる気と行動は因果関係はあります。けれども、その「やる気」はどこから出てくるのでしょうか。
答えは「モチベーション」です。
「モチベーション」があるから「やる気」が出てきて、「行動」につながります。
なので、行動をしたいなら「やる気」でなく「モチベーションを持つこと」を考えなくてはいけません。
モチベーションには2種類ある

ところで、モチベーションには2種類あります。「外的モチベーション」と「内的モチベーション」というものです。
「外的モチベーション」というのは、外的な要因から生じるモチベーションです。外的な要因とは、たとえばご褒美、昇進、昇給、他者評価などです。叱責など負の要因であることもあります。
「内的モチベーション」は、これとは異なり、内的な要因から生じるモチベーションのことです。内的な要因とは、自分の趣味や興味の対象、自分の中で得られる達成感などで、単にやることが楽しいといったものも含まれます。
ご褒美などの外的要因から生じるモチベーション
内的モチベーション
楽しいなどの自分の内から生じるモチベーション
どちらのモチベーションを用いて「やる気」を出すのかは決めなくてはいけません。
外的モチベーションを用いる場合
外的モチベーションを用いる場合、そのままの流れです。
もし外的モチベーションで行動を促すならば、「報酬」を考えることになります。自分が行動したい場合、自分へのご褒美を設定するのはよく用いる手段です。
内的モチベーションを用いる場合
内的モチベーションを用いる場合、自分の中から「楽しい!」「やりたい!」という感情が生じないといけませんが、この感情はどこから来るのでしょうか。
これは「好奇心」からです。
物事が好奇心の対象となると「楽しい」「やりたい」という気持ちが持てることになります。
内的モチベーションによって行動を促したいならば、まずは「好奇心」を育む必要があります。好奇心を育むというと難しそうですが、簡単に言えば「好きなことを探す」ということです。
内的モチベーションがベスト

ここまでの話で、行動をするには、「報酬」か「好奇心」のどちらかが必要であることが分かりました。行動が出来さえすればどちらでも良いのかもしれませんが、この違いを明らかにした有名な実験を一つ紹介しておきます。
ソマパズルの実験
大学生のパズルを解いてもらう実験で、大学生を次の2つのグループに分けます。
A パズルが解けるたびに1ドルが貰える
B パズルが解けても特に何も貰えない
パズルを解いている途中に休憩時間を設けます。
結果
グループAはパズルに触れる時間が減りました。
グループBは休憩時間も休むことなく解き続けました。
グループAはパズルを解く理由が外的モチベーションになってしまい、「パズルが楽しい」という気持ち(主体性)を弱めてしまったと考えられています。これは「アンダーマイニング効果」と呼ばれています。
不要ならば報酬はない方が良い
確かに、インセンティブのようなもので外的モチベーションを持たせて行動を促すこともよく用いられますが、もともと主体性を持って行動する人の場合は逆効果になる可能性があります。
報酬がなくても、もしくは少ない報酬で行動ができるならば、わざわざ報酬を出したり増やしたりすることは避けるべきでしょう。
勉強への「やる気」

ところで、勉強にやる気を出すためにはどうすれば良いでしょうか。できれば「好奇心」をもって取り組みたいところです。
「苦手・嫌い」からは絶対ダメ
勉強はできていないところに目が行きがちですが、そこに好奇心を持ってもらうことはほぼ不可能です。
まずは好きなところ、得意なところから手を付けるのがオススメです。得意を伸ばしていこうという感じで取り組むと、内的モチベーションから「やる気」を出すことは難しくなく、勉強することができるでしょう。
事実、勉強は苦手を克服するより得意を伸ばす方が、後々は絶対に良いです。そういう意味でも、「苦手・嫌い」には目を瞑っても問題ありません。
勉強へのご褒美
状況によっては好奇心をくすぶって勉強に結びつけることが困難なこともあります。けれども、学習内容や状況によってはご褒美を用いて勉強させた方がよいという場合もあるでしょう。
私の考えですが、小学生の「読み・書き・計算」はそういうものだと思っています。ご褒美みたいな外的要因から来る外的モチベーションでも良いので、最低限の「読み・書き・計算」はできるようにしておくのは悪くはないと考えています。
まとめ
「やる気」を出すためには、元となる「モチベーション」が必要で、そのモチベーションを生じさせるためには、「報酬」か「好奇心」が必要になります。
可能であれば「好奇心」から行動ができたら最高です。難しいようなら、うまく「報酬(インセンティブ)」を用いて行動に結びつけるのも一つの方法です。