【共通テスト】「化学」の解説「第2問」(令和3年度)

化学 受験

令和3年の共通テスト「化学」の解説です。今回は「第2問」です。

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このページでは、共通テストのテーマである「思考力を問う」というものに対しても吟味しており、「思考問題」を次のように取り決めています。

「思考問題」とは

試験中に考える必要があると思われるものを「思考問題」としています。受験勉強をしている中で、考えて理解しておかなければいけない問題は「思考問題」とは言えません。勉強時に考えておき、試験中ではパッと解いていくわけですから。

では、早速解説です。

第2問「問1」

問1は正誤問題です。選択肢には難しいものも混ざっていますが、誤りを含む選択肢を見つけるのはそこまで難しくないかもです

ラジカル反応というものですが、これは高校化学ではきちんと学びません。解けるとしたら丸暗記必須となります。「思考力を問う」ことを目標とした共通テストの問題としてはダメな問題ですね。一応、書かれていることは「正」です。

は知識というか常識として知っておくべきことです。「正」ですね。

「思考問題」です。まずは「光合成で糖類を生成する」という話が出てきているので、次の化学反応式を作ります。

光合成で糖類を生成
 CO2 + H2O + → 糖類(デンプン)+ O2

ここで「光合成は、光エネルギーを化学エネルギーに変換している」ので、この反応は化学エネルギーが増大していることがわかります。(これは中学3年生で学びます。)つまり、

CO2 と H2O からデンプンが生成する反応は吸熱反応である

ということになります。デンプンはグルコースから出来ているので

CO2 と H2O からグルコースが生成する反応は吸熱反応である

と考えて「誤」だと判断しても良いと思います。ただし、正確に考えると次のようになります。

厳密に考えると

デンプンは多糖類でグルコースは単糖類なので厳密には異なります。けれども、デンプンを加水分解してグルコースにするのも、グルコースを脱水してデンプンにするのも、結合エネルギーだけで考えると全く違いはなく、実質は無熱反応(熱を伴わない反応)となっています。なので、

CO2 + H2O → グルコース + O2

吸熱反応だということになり、答えは「誤」というわけです。

【別解】「光合成」でなくても

もちろん、私たち生き物は糖類を燃焼させて生きているので、そのイメージから

糖類 + O2 → CO2 + H2O + 熱エネルギー

と考えることができ、この反応は発熱反応だと捉えることができます。よって、逆反応である「 CO2 と H2O から糖類を生成する」のは吸熱反応だと推測できますね。

最後にですが、これも丸暗記問題、つまりダメ問題!知識としては高校生にはマニアックなものです。酸化チタンⅣ TiO2 は光触媒として知られており、紫外線を照射すると有機物(生物)を分解することができます。(ゴキブリですら分解できるとか聞いたことがあります!)

実用化もしており、TOTO(東洋陶器)でも使われていた気がします。尿素の分解に利用しているのかな?

問題としては、選択肢③が「誤」と判断できなくはないので、解けたい問題かもしれません。

第2問「問2」

問2は計算問題です。それほど難しくない気はしますが、どうでしょうか。

まず問題を見て、すぐにしないといけないことは、与えられた半反応式からイオン反応式を作ることで、着目するのは e です

正極 O2 + 2 H2O + 4 e → 4 OH (㋐)
負極 Zn + 2 OH → ZnO + H2O + 2 e (㋑)

e を消去するために、両辺の e をそろえて

O2 + 2 H2O + 4 e → 4 OH (㋐×1)
2 Zn + 4 OH → 2 ZnO + 2 H2O + 4 e (㋑×2)

辺々を足すと e が消えて

2 Zn + O2 ―(4e)→ 2 ZnO (㋒)

このとき、大切なことは、消去した 4 e の情報を残しておくことです。

そもそも化学反応式やイオン反応式を立てる理由は、量論関係が知りたいからです。イオン反応式㋒によって「電子 e が 4 mol 流れると、O2 1 molぶんの質量が増加する」ということがわかります。

これで計算問題を解くことができます。問題によると「電池の質量が 16.0 mg 増加した」となっていますが、これは式㋒を見ると O2 だと分かります。 つまり、O2 は分子量 32 なので

 16.0 × 10-3 / 32 = 0.0005 mol 増加した

ことがわかり、

 e が 0.0005 × 4 = 0.002 mol 流れた

ことになります。電子 e 0.002 mol はファラデー定数 96500 C/mol を用いると

 96500 × 0.002 = 193 C

の電気量だと分かります。つまり、7720 秒で 193 C の電気が流れたということになります。電流 [A] は1 秒間に流れる電気量を意味するので、

 193 / 7720 = 0.025 A = 25 mA

となり、答えは③となります。

長めな解説になりますが、やっていることはシンプルでそれほど難しくはありません。ファラデー定数 96500 C/mol を用いた問題は頻出なので、絶対に練習して解けるようにしておきましょう!

第2問「問3a」

問3aは水の状態図の問題です。それほど難しくはないでしょう。

とりあえず、状態図をかいて、問題文で書かれている情報を記載します。すると下図のようになります。

この図から「昇華させる方法」を考えると、「温度を保ったまま」で昇華させるためには減圧する必要があり、「圧力を保ったまま」で昇華させるためには加熱する必要があることがわかります。

よって答えは①となります。

状態図はそこそこ見かける問題です。状態図の問題には計算問題はなく、図の読み取りをきちんとできればそれほど難しくありません。なので絶対に解けたいですね!

第2問「問3b」

問3bはちょっと難しめです。「思考問題」かなと思います。

まずは問題で問われている内容を理解しないといけません。

「水の昇華熱 Q kJ/mol」とは、「氷の結晶の中にある水分子1 mol どうしの結合を切るために必要な熱(エネルギー)」のことです。水分子どうしの結合とは水素結合のことなので、「水分子1 mol の中にある水素結合を全部切るのに必要な熱エネルギーが Q kJ だった」ということなのです。

まずはこのことを理解です。で、問題は後半です。「氷を形成している水分子 1 mol の中に水素結合は何 mol あるのか」を考えなくてはいけません。

これはちょっと難しめかもしれません。与えられた図1の模式図の拡大している方(右側)を見てみます。よく見ると、水分子1コから水素結合が4コ出ています。つまり、水分子 1 mol だと水素結合が 4 mol ぶん出ていることになります。けれども、これは2倍数えていることになります。なので、実際には 4 mol ÷ 2 = 2 mol となります。

これより、水素結合 1 mol を切るために必要なエネルギーは Q / 2 kJとなります。答えは②です。

【おまけ】イメージとしては二酸化ケイ素 SiO2

二酸化ケイ素の結晶でも、イメージはできます。二酸化ケイ素の結晶は、正四面体の中心と四隅に Si 原子があり、Si 原子の間に O 原子があります。

ここで、Si が水分子、O が水素結合だとすると氷の結晶と同じ絵になります。つまり、「二酸化ケイ素はSi 1つに O 2つ」なので「氷の結晶は水分子1つに水素結合2つ」だと分かります。

第2問「問3c」

問3cはエネルギー図の問題です。熱化学方程式は、方程式で解く方法以外に、エネルギー図で解く方法ができないといけません。

これはそれほど難しくはありません。「0 ℃における氷の昇華熱 Q kJ/mol」がエネルギー図のどこにあるのかが分かりさえすれば解けます。

図の中に情報を書き込んでみると次のようなになります。

これより、求める Q は

 Q = 6 + 2.0 + 44 - 1.0 = 51 kJ/mol

となり、答えは④となります。