【化学ってこんなお話】原子核からわかること

化学 受験

この「化学ってこんなお話」のコンセプト

教科書、参考書、問題集、それらが悪いというわけではないけど、なんか楽しくないですよね。そこには載っていないお話ができればいいかなと思っています。高校の『化学基礎・化学』の勉強を始める前に、知っておけば化学に親しみが湧き楽しくなるお話をしていきます。

前回までの話で原子がどういったものなのかは、なんとなくわかったと思います。

前回までのお話
原子とは、陽子と中性子からできた原子核の周りを電子が飛び回っているとても小さい粒子である

でも、原子には種類があるというお話でした。今回は、この原子の種類のお話をしたいと思います。

原子核から原子の種類が決まる

分かりやすく説明するために、シンプルな原子ナンバー1から4までの皆さんに登場してもらいましょう。左から順番に水素原子H、ヘリウム原子He、リチウム原子Li、ベリリウム原子Beのみなさんです。


この絵を見ながら、次のような表を作ってみます。

元素記号 H He Li Be
原子番号 1 2 3 4
陽子の数 1 2 3 4
中性子の数 0 2 4 5
質量数 1 4 7 9
電子の数 1 2 3 4

この表をみて、納得して欲しいことが2つあります。

①原子の性質は電子の数で決まる

原子の性質っていうのは、簡単にいうと、どんな原子と引っ付きやすいのか、または引っ付きにくいのかという話なんです。そう考えると原子の性質を決めているのは外側を飛び回っている電子ということになります。

つまり、原子が118種類あるということは、電子を1コ持っている原子から118コ持っている原子までがいるということですね。ただ、電子は何個でも自由に持てるわけではありません。マイナスの電気を帯びている電子は、プラスの電気を帯びている陽子の数と同じだけしか持てないのです。すなわち、

  • 陽子の数 = 電子の数

となっていて、陽子と電子を1コずつ持つ1番目の原子から、陽子と電子を118コずつ持つ118番目までの原子があるということなんです。これらを綺麗に並べて、前から順番に1~118までの番号を振ったのが原子番号です。

原子番号1 陽子1コ、電子1コを持つ原子
原子番号2 陽子2コ、電子2コを持つ原子
原子番号3 陽子3コ、電子3コを持つ原子
  ・
  ・
原子番号118 陽子118個、電子118個を持つ原子

ただ、これでは愛想がないので、各原子に名前を割り当てて、その名前の頭文字を元素記号という風にして使っています。

原子番号1 ⇒ 水素 Hydrogen,元素記号H
原子番号2 ⇒ ヘリウム Helium,元素記号 He
原子番号3 ⇒ リチウム Lithium,元素記号 Li

②陽子の数と中性子の数で質量が決まる

2つ目は質量数についてです。質量数とは原子の質量のことで、前回のお話のとおり、原子核の質量で決まります。陽子と中性子の質量はほぼ同じで1としているので、原子核の質量は陽子と中性子の数を足した値で

  • 陽子の数 + 中性子の数 = 質量数

ということになります。上の表を見ると、確かにそうなっていますね。ちなみに質量数自体は覚える必要はありません。大切なことは

  • 重要:原子の質量(質量数)は、ともに質量が1である陽子と中性子の数を足した値である

ということを理解していることです。

元素記号と原子番号、質量数(表記方法)

理屈の話は終わりで、あとは表記方法を整理しておきましょう。書き方は上の絵の通りで、元素記号の左上と左下に数字が書かれていることがあります。それぞれの意味は

  • 元素記号の左上 質量数
  • 元素記号の左下 原子番号 = 陽子の数 = 電子の数

となっています。また、簡単な計算で中性子の数が求められます。

  • 質量数 - 原子番号 = 中性子の数

リチウム原子Liで整理しておくとこんな感じですね。

元素記号と付いている数字から、陽子の数電子の数質量がわかることが大切です。中性子の数はあまり重要っていうわけではありません。納得できたら十分です。

次回予告

次回は「周期表からわかること」
お楽しみに~

≪2話 原子ってどんなもの?(原子の構造)
≫4話 原子の気持ちがわかります(最外殻電子の話)